日本の税金は納税者自身の適正な申告と納税に支えられています。(申告納税制度)
しかし、課税の公平を確保するためには故意に不正な手段で税金を免れようとする者の責任を厳しく追及する裏づけが必要です。このため、一般的な税務調査のほかに、特に大口・悪質な脱税をした者に対しては、税金を納めさせるだけでなく、懲役又は罰金という刑罰を科すための「査察制度」という特別な調査が行われています。この査察調査には、国税庁と国税局に配置されている国税査察官(全国で約1,300名)が当たっています。
一般の税務調査は任意調査によっていますが、国税の査察調査は強制的権限をもって犯罪捜査に準ずる方法で調査する強制調査です。国税の査察調査の結果に基づいて検察庁に告発することもあり、国税の課税処分が行われるほか、裁判の結果によっては実刑を下されるような場合もあります。
国税の査察調査で実際に執行しているのは、各国税局に配置された国税査察官です。国税査察官は脱税の調査を行う際、調査対象者を逮捕して取り調べる権限こそありませんが、「国税犯則取締法」という法律によって、犯則嫌疑者や参考人に質問し帳簿や書類を調査・検査すること、任意に提出した物を領置すること、裁判官から許可状の交付を受けて、一定の場所に立ち入って捜索・調査し、証拠物件を差し押さえることができます。
最近の査察調査では、外国為替証拠金取引(FX)による利益の除外、架空の輸出免税売上とそれに見合う架空の課税仕入を計上、人材派遣業を中心に、本来課税仕入に該当しない人件費を課税仕入となる外注費に科目を仮装することなどによる消費税の脱税が増加しているようです。
Posted on 10月 23rd, 2009 in 国税調査, 国税調査員 | Comments Off
国税の調査のことを中心にご紹介してきましたが、今回は「国税」にまつわる様々なことを少々ご紹介したいと思います。
国税を扱う省庁は財務省の外局である「国税庁」です。「国税庁」は、所得税・法人税・相続税(直接国税)、酒税・消費税(間接国税)などの国税の課税・徴収を行います。財務省主税局が税制の企画・法制化などに関わるのに対して、国税庁は租税制度を執行する「執行機関」としての役割を担っています。この国税庁の地方組織として、全国に11の国税局、1つの事務所(沖縄国税事務所)、524の税務署が設けられています。
税務署は、規模によっても異なりますが、個人事業者などの申告所得税・消費税等の指導と調査を行う「個人課税部門」、法人税・消費税・源泉所得税・印紙税等の指導と調査を行う「法人課税部門」、相続税・贈与税・土地・家屋等を譲渡したときの所得税などについての指導と調査を行う「資産課税部門」等があります。
<個人課税部門>
所得税や個人の消費税についての相談や調査、個人事業者向けの各種説明会や青色申告のための記帳指導・研修などを担当しています。
<法人課税部門>
法人税、源泉所得税、酒税、印紙税、揮発油税のほか、法人についての消費税の指導・調査を担当しています。
<資産課税部門>
相続税、贈与税、土地・家屋等を譲渡したときの所得税などについての指導・調査を担当しています。
<管理徴収部門>
国税債権の管理、還付金の処理、延納・物納に関する事務、現金の領収、納付の相談、滞納処分、納税証明書の発行等を担当しています。
Posted on 9月 25th, 2009 in 税務署, 国税調査, 国税 | Comments Off
納税、国税、地方税、税務調査などの話題についてご紹介してきています。
今回は、最近報道された税務調査関連のニュースをご紹介しましょう。
『集英社、5億所得隠し 国税指摘|社員の飲食「取材費」処理
出版大手「集英社」(東京都千代田区)が東京国税局の税務調査を受け、2008年5月期までの5年間に計約5億円の所得隠しを指摘されていたことがわかった。重加算税と過少申告加算税を含めた追徴税額は約2億円に上り、同社は指摘に従って修正申告に応じ、納付を済ませたという。
~(中略)~
関係者によると、東京国税局の税務調査や集英社の社内調査で、編集者など社員と作家らが集まって居酒屋など飲食店で行ったとされる打ち合わせの中に、作家らが同席した事実のないものが大量に含まれていることが判明。取材・編集業務に絡む支出に当たらないとして、同局に「交際費」と認定され、重加算税の対象となったという。(以下省略)』
(読売新聞|2009年8月21日より引用抜粋)
いわゆる社員同士の飲み食いを会社の経費で落としていたというケースですが、出版社の場合、編集のための座談会や取材に要する支出について費用計上を認められているため、悪用すると租税回避できることが原因です。こういった税務調査の場合には、領収書の日付やお店の裏づけ調査を行うことによって判明します。しかし、社会悪を暴く立場にある報道機関にはあって欲しくない事件だと思います。まずは、社会悪よりも自分の足元に気をつけてもらいたいものですね。
Posted on 8月 26th, 2009 in 国税調査, 税務調査が来た | Comments Off
以前に国に納める税金、国税の種類についてご紹介しましたが、今回は地方税と国税というテーマでご紹介しましょう。
大阪府の橋本知事、宮崎県の東国原知事が中心となって叫んでいる「地方分権」、「地方への財源移譲」を考えるときには、財源の基となる国税、地方税の知識は欠かせません。
そこで今回はまず、国税ではなく地方税のことを少し詳しくご紹介しましょう。
地方税とは、主に(個人の)住民税、法人の住民税、固定資産税、事業税、自動車税、ゴルフ場利用税、都市計画税などの税金をいいます。
地方税の中の都道府県税に関しては各都道府県の「税務事務所」が所轄となって、市町村税は各市町村の「税務課」が所轄となって取り扱います。地方税はその対象を地方自治体の裁量によって多少税率などを変えることが認められているため、住むところによっては税金の額、税率が若干上下することがあります。
それに対して、国税とは、納税者が直接・間接を問わずに納めた税金が国庫に入る税金を指します。国税は大きく分けると「直接税」と「間接税」に分けられますが、それぞれの国税の種類については以前ご紹介しました。
今回はその国税や地方税の意義について少し。
国税や地方税は、私たちが毎日利用している道路や橋などの社会資本の整備、学校や公共施設の維持・管理、上下水道の整備、国や地方公共団体(県や市町村)の公共サービス、生活に困っている人を保護すること、国土の開発、産業の振興、外交などなど、私たちが豊かで健康的な生活を営むうえで、どうしても必要なもののために使われています。
Posted on 7月 24th, 2009 in 種類, 国税 | Comments Off
今回は国税調査から離れて、税務署の職員を名乗った振り込め詐欺についてご紹介しておきましょう。
税務署の職員と聞くと、昔で言うところの「お上(おかみ)」のお達しだと思って、はいはいと言うことを聞いてしまうお年寄りが多いらしく振り込め詐欺の被害が後を絶ちません。
手口の多くは、税務署の職員を装い、税金の還付手続きのためと称して、預貯金口座の口座番号等を電話で聞き出そうとしたり、税金の還付手続きのための現金自動支払機(ATM)の操作をさせる詐欺が多いようです。
また、税務署の職員を名乗り、国税の調査にきたといって預金通帳やハンコなどを直接持っていってしまうという事件などもあったようなので注意が必要です。
こうした振り込め詐欺は、手口を様々に変えてなかなかなくなりません。
しかし、手口は変わっても狙われる対象は、年金受給者の高齢者や独居老人など弱者が中心であることに変わりはなく、許される行為ではありません。
騙されるほうも悪い、などという意見を言う日ともいますが、そんなことはありません。
騙すほうが、徹頭徹尾「悪い」のです。騙されるほうは何も悪いことはありません。
ただし、騙されてしまうとお金を取られる、犯罪者が得をするということで都合が悪いだけです。
騙すほうは複数で、騙されるほうは一人というシチュエーションが一番よくないので、少しでもおかしいと思ったら、親兄弟、子供、親族、隣近所、おまわりさんなどにすぐに相談しましょう。
Posted on 6月 24th, 2009 in 余談, 税務署の職員 | Comments Off
今回は国税調査の対象となり得る可能性のある国税の種類をご紹介しましょう。
国税とは、納税者が直接間接を問わずに納めた税金が国庫に入る税金を指します。大きく分けると「直接税」と「間接税」に分けられますが、それぞれの国税の種類をご紹介していきましょう。
~直接税(納税義務者が最終負担者と一致する税金)~
<所得税>
一年間の所得について個人に課税する国税。納税者自身が行う申告納付が原則で、所得税の申告のことを一般に「確定申告」といいます。ただし、サラリーマンなど給与所得者である個人については「源泉徴収制度」が採用されています。
<法人税>
決算事業年度を基準とする年間の法人所得について課税する国税。課税負担割合については一般企業で課税所得の30%が原則とされています。
<贈与税>
見返り無く他者から財産的価値のあるものを受領した者が、その贈与を受けたとみなされる額の一定割合を納付する国税。相続税(後ほど説明)の租税回避行為を行わせないように規定されている性格が強くあります。
<相続税>
親から子へ財産が相続される際に、相続人に課税される国税。相続税の課税負担割合は相続額(課税標準額)にもよるがMAX50%に達します。
~間接税(納税義務者が必ずしも最終負担者とならない税金)~
<消費税>
消費税課税業者が課税対象となる商品(サービス)の売買を行った場合、原則として課税売上額の4%から課税仕入額の4%を控除して国に納付する税金。この他に地方消費税が国税納付額の25%発生するため、最終消費者は国税として4%、地方税として1%の合計5%を負担しています。
※上記の消費税以外にも間接税には、酒税、たばこ税、印紙税、関税などがあります。
Posted on 5月 26th, 2009 in 種類, 国税 | Comments Off
国税調査を含め、税務調査には大きく分けて「強制調査」と「任意調査」があります。
「強制調査」とは呼んで字のごとく国税局査察部が強制的に証拠物件や書類を押収して行われる税務調査のことで、悪質脱税容疑者に対し、裁判所が捜査令状を発行し行われる調査です。この税務調査は相当多額で悪質な脱税が探知された場合に行われ、国税局査察部は「マルサ」と呼ばれています。
それに対して「任意調査」は、納税者の申告内容について確認をするために行われる税務調査のことです。この調査はあらかじめ脱税または不正の事実を把握した上で行われる調査ではありません。通常は事前に調査の予定日も連絡してきますし、一般的な税務調査はほとんどがこの任意調査です。
この税務調査の対象の選定は、税務職員が個々の判断に基づいて行います。
それ故3年に1度調査が行われる会社もあれば、中には10年以上も税務調査がないという会社もあります。この調査先の選定はコンピュータなどを使ってランダムに選ぶわけではなく、どの会社も平等に調査しているわけではありません。
税務署には個々の会社ごとに、過去の申告のデータ等を整理した「税歴表」というものがあり、調査官が自分の担当の会社の税暦表を見ながら税務調査先を選定しています。
現実的には、売上規模が大きめの黒字の会社、急激に業績が向上した会社、多額の貸倒がある会社、土地建物の取引があった会社などが税務調査対象になりやすいと言われています。
Posted on 4月 23rd, 2009 in 国税調査 | Comments Off
消費税には「国税」部分と「地方税」部分がありますが、どちらも同じ申告書で所轄の税務署に申告します。納税も1枚の納付書で国税分・地方税分の合計を納税します。納税期限は申告期限と同一日となっており、銀行等の金融機関または税務署で納税します。
個人事業者の場合には、所轄の税務署に3月末日までに申告します。先週の月曜日までだった所得税の確定申告から、すぐさま消費税の確定申告期限が迫ってきていますが、申告漏れの無いように注意が必要です。
法人の場合には、所轄の税務署に決算日以後2ヶ月以内に申告します。この点は法人税の確定申告と同じですが、法人税では認められている申告期限の延長(1ヶ月)が消費税の場合には認められていませんので、注意が必要です。
個人事業主の場合、国税調査が入ることはほとんどないと思いますが、金額が大きくなった場合にはその限りではありません。悪質な脱税や脱法行為を伴うクロに近い節税が疑われる場合には国税調査員による査察・調査を受けてしまうかもしれません。
「納税」は国民の三大義務の一つです。日本国憲法にも「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う」ということが明記されています。それでは、納税することによる我々へのメリットは何があるのでしょう。
私たち国民は、公的な機関からの行政サービス提供を受けた見返り、国や地方公共団体が国民の財産や治安などの維持など公共的な行為を納税によって受けているのです。
Posted on 3月 25th, 2009 in 国税調査, 国税調査員, 国税の確定申告 | Comments Off
昨日2月16日から平成20年度(2008年1月1日~12月31日)分の確定申告期間がスタートしました。申告期限は3月15日までとなっていますので、申告義務のある方は必ず期間内での申告を済ませましょう。
この「確定申告」をする必要がある人は下記にあてはまる場合となります。
(1.)給与所得者の場合
通常は年末調整を行えば所得税は精算されるので確定申告は不要ですが、以下の項目に該当する場合には確定申告が必要となります。
・1月1日から12月31日までの給与が2,000万円を超える人
・2ヶ所以上から給与を受けている人で、従たる給与の収入金額と給与、退職所得以外の所得合計が20万円超の人(※ 但し、給与収入から年末調整で控除できる基礎控除以外の所得控除額を差し引いた残額が150万円以下、かつ給与・退職所得以外の所得合計が20万円以下の人は不要)
・1ヶ所から給与を受け、給与、退職所得以外の所得合計が20万円超の人
・同族会社の役員、親族等で給料の他にその同族会社から貸付利息、家賃収入等の支払を受けている人(※ 金額が20万円以下でも申告が必要)
(2.)一般の方
各種所得の合計金額から所得控除を差し引いた額に税率を適用して計算した所得税額が配当控除額・住宅ローン控除額・定率減税額の合計額を超える人
(3.)退職金をもらった人
通常は退職の時に、会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出して所得税の精算が行われているはずなので確定申告は不要ですが、退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合には、退職手当等について支払額の20%の税率で源泉徴収が行われていますので確定申告をして精算する必要があります。
Posted on 2月 17th, 2009 in 国税の確定申告 | Comments Off
国税の調査について調べてきていますが、今回は「査察制度」についてまとめていきたいと思います。
この「査察制度」というのは、一般に行われる税務調査は納税者の同意を前提とした「任意調査」ですが、強制的権限をもって犯罪捜査に準ずる方法で調査するのが「査察調査」といわれるものです。
この査察調査の結果に基づいて検察庁に告発にいたるケースもあり、追徴課税処分が行われるほか、裁判の結果次第では、実刑を下されるような場合も見られます。「査察制度」において実際に執行にあたっているのは、各国税局に配置された「国税査察官」です。「国税査察官」は脱税の調査の際、逮捕して取り調べる権限こそ持ちませんが、「国税犯則取締法」という法律によって、犯則嫌疑者や参考人に質問し帳簿や書類を検査すること、任意に提出した物を領置すること、裁判官から許可状の交付を受けて、一定の場所に立ち入って捜索し、証拠物件を差し押さえることが可能です。
最近の査察調査の結果(国税庁公表)をみると、平成16年度中の査察着手件数は210件。また、処理した213件のうち152件を検察庁に告発しています。
脱税の手段としては、架空原価、架空人件費、架空経費の計上、売上除外が最も多くなっています。また、脱税した資金を、居宅洗面所の鏡の裏側に現金や株券を隠していたり、自宅のクローゼットのパイプの中に貸し金庫の鍵を隠していたケースなどもあり、巧妙化しているようです。
Posted on 1月 21st, 2009 in 国税調査, 国税 | Comments Off